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「だ、誰だ!お前は、どこから入ってきた!」
「私はRテレポーテーション・サービスの者です。香山様、規則に反して人を転送なさいましたね」
「な、なんのことです」
「ごまかしても無駄です。すでに、ご存じだと思いますが、Rテレポーテーション・サービスは全てを一括して取り仕切っております。あなた様がただいま転送なさいました方はこちらでお預かりしております」
「なんだと!」
「実を言いますと、このテレポーテーション装置は生きた動植物も転送させることは可能なのです。しかし、それを、公にすれば、人々は今まで異常に楽をしてしまうでしょう。それだけでなく、犯罪にも使われてしまいます。武器や薬物の密輸。人身売買。香山様のように殺人に使うという方も時々、現れます。それを、防ぐ為に、Rテレポーテーション・サービスは存在しているのです。我が社の方で、一度転送されたモノを確認した上で、目的の場所に転送するようになっています。今でも、時々、死体などが転送されてくるので処理に苦労していますが、今回は死んではいないので大目にみましょう。ただし、二度と犯罪に使われないよう装置に関する記憶は全て消して、これまで購入した品々も全て回収させていただきます。無論、奥様もどうようですが」
男はそう言うと、香山に小型の銃を一発、放った。香山は全身にビリビリと電撃を感じて、そのまま意識を失った。
香山はいつの間にか眠っていた。どれほど、眠っていたのか、彼は覚えていなかった。そもそも、いつ眠ったのか、その記憶すらも曖昧だった。
自宅は元通りで何一つ変わってはいなかった。いや、変わっているところはあったが、香山自身がそれに気づいていなかった。
テレポーテーション装置は丸ごと無くなっていたが、それすら香山は覚えていない。
覚めたコーヒーを飲みきって、新しくコーヒーを入れ直し、ミルクを注ごうとしたが、ミルクは無くなっていた。
「さっきので最後だったのか?」
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