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僕は、覚悟を決めてカゴは身体の前に背負った。
子どもの頃、じゃんけんに大負けして、よく大量のランドセルを背負っていたものだ。
それを考えると、まだマシな方だろう。
「さあどうぞ」
背負った老婆は子泣き爺並みの異様な重さだった。
名前はハナさんというらしい。
「ハナさん、途中でこのカゴの荷物下ろしますからちょっと寄り道しますよ」
「ハイハイ、私は羊羹大好きですよ」
会話は噛み合わなかったが、さほど問題はない。
僕は、黙々と歩き続けた。
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