妄想痴漢列車

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 思いだしていたのは、俺の様子を食い入るように見ていた和樹の顔だ。  真っ赤になって、オロオロして、パニクってるあいつの顔なんて初めて見た。  いっつも余裕だからさ。 「っ」  俺は自分のものを握りしめて扱きはじめていた。  ついさっきの出来事で、いつも以上に和樹の表情とか思い出せて興奮してどうしようもない。  頭が直ぐに馬鹿になって、手だけが忠実に欲望に従う。  濡れた音とかしてるし、パンツとかもう今更だし。  こうなればヤケで、俺は狭い個室の中でひたすらシコって、そしてあっという間に二度目を吐き出した。  息切れして、脳みそ馬鹿でボーッとして。  そんなだから、ドアの向こうに人の気配がある事に気づかなかった。 「あの…正木、その…」 「…え!」  声がかかってようやくだ。いつからいたんだ!  ってか、声殺してたけど伝わったよな、この感じ。  どこから分かってたんだよ! 「あの、これは…」 「とっ、とりあえずさ、出よう。これ、買ってきたから」  そう言ってドアの隙間から渡されたのは新品のパンツ。これを買いに行ってくれてたっぽい。  ってことは、多分かなり聞かれてた。だって売店あんの、改札の目の前だ。トイレも改札入ってわりとすぐ。  行って戻ってくるって、そんなにかかんない。     
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