第3章 神様のいたずら

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(こっちも丸聞こえなんだけど) 平蔵は大きな手を額に乗せると、頭を抱えるように机に突っ伏した。 それを見た隣の雨宮が「大丈夫か?」とひそひそ声で声をかけていたが、 平蔵はそれを無視して机に額を打ち付けながら。 【なんだ、これ~。なんだよ、これ~】と繰り返した。 (うるさい!私の頭に中に入ってこないでよ!) 【バカ野郎!そんな器用なことが俺にできるわけないだろ!どうすりゃいいんだよ】 (わめくな!小心者。ちょっと静かにしててよ。考えることもできないじゃない) すると、平蔵は静かになった。 そのまま国語の授業が終わるまでは静寂が続いた。 チラリと振り返ると、教科書を立てて机に頭だけ乗せてだらしなく両腕を床に垂らしていた。どう見ても、寝ている。 地元では最高峰の進学高に頭悪そうなあいつが入れたのは奇跡だった。 平蔵ママはうちのママに興奮して報告しに来た時、 私も意外過ぎて心臓がどきどきするほど驚いた。 授業について来れなかったら卒業なんて出来ない。 だからきっとあいつは私の長年通う塾に入って猛勉強しているのだろう。 何か、夢や目標でもあるんだろうか。
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