第4章 滑らかなくちどけ

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私は自分でもどうしてこんな頑なに 平蔵のことを許せないのか、わかっていない。 こうしている間も、怒りの炎はエスカレーションしてしまう。 ……あの台詞「おいブス」がそんなに許せないものだろうか? 「ブス?」と、平蔵が反応した。 「ブスって、俺が言ったのか?」 その瞬間、平蔵の目が私を縛り付けた。 私は金縛りにあったように動くことが出来ず、身構えた。 平蔵は気味が悪いぐらいに目を見開いて、 しばらく黙り込んだ。 目が、眼球が小刻みに震えていて。 まるでホラー映画の主人公みたいに雷に打たれたような顔をしている。
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