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そんな彼と私が最初に出会ったのは、幼稚園の時だった。
幼稚園バスの送迎で、バス亭仲間となったのがくされ縁の始まりで、
あいつは私を見て開口一番に「おいブス」と言い放ったのだ。
もちろん返事ひとつしてやらないと固く心に決めてから、
私は何度話しかけられようとも、
ことごとくあいつの存在を無視し続けてやった。
あれが5歳頃なら、
かれこれ12年間もの間、私は一度もあいつとは口を効いていない。
だがしかし。
口は効いていないが、不覚にも何度か目は合っている。
あいつはいつも目立つ行動をして、目立つ格好をして、目立つ物言いをして、
憎たらしい程周囲を自分に釘づけにする天才なのだ。
あんな俺様な奴でも、あいつを気に入っている輩は多く、
常に数人の友人に囲まれてふざけたことばかりやっている。
迷惑な男だと
私は常にあいつの存在を思い知らされることが、大変憎々しかった。
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