第1章 クラスメイト

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でも、考えてみれば妙な話だ。 なぜ、私はあんな奴の一挙手一投足がこんなにも気になっているのだろうか。 気が付けば毎日16時間もあいつの顔色を見て、 今日は機嫌が良いだの悪いだのと気にしているなんて、滑稽じゃないか。 学校が終わった後もあいつは私の行動半径に必ずいるのだ。 塾も一緒、バイト先には毎日顔を出すし、それに家が隣で部屋の窓は向かい合わせ。 レースカーテンの向こう側で、真面目な顔をしてテスト勉強している顔を偶然見てしまうことも頻繁に起きてしまう……。 私は奥田平蔵から視線を外すことを決意して、自分の机に腰を据えた。 朝のホームルームが終わり、いつものように手洗いに向かおうとした時だった。 平蔵が進行方向をすでに歩き出していることに気付いた。 目もくれてやらないと誓ったそばから、あいつは私の行く手に立ちふさがり続けるのは今に始まったことではない。 私は鼻息を荒くして、足を高速で動かしながら歩いて奴を抜き去ってやった。 あいつは私に抜かれても、別に何ともないような無機質な表情をしていた。 抜き去る一瞬、私はまたしても奴をこの目で捉えていたことになる。 なんということだ。 イライラする!
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