第1章 クラスメイト

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この距離だと息がかかってくる。 あいつの吐く息を吸うなんて、そんなのすごく嫌なはずなのに。 逃げ出すこともできるのに、なぜか私はグイと顔を上げて睨み返した。 怪訝そうに眉をひそめ、平蔵は奥歯にものが挟まったような活舌の悪さで言った。 「俺、お前に何かしたのか?」 「はぁぁあ??」 「は?じゃねぇよ。 ずっと気になってたんだよ。お前のその態度…」 私はつい窓の外に視線を投げた。 真正面から物言いされるだなんて、なんて日だ!と、心の中で悪態をついている。 平蔵は近くから見ると危険なほどイケメンだ。 ムカつくほどにモテる男なのだ。 そんな奴に見つめられて舌を噛んでしまわない保証はない。 それに、自分でもなぜこんな風なのかわからない! だから、こいつは私になんていうことを聞いてくるのだ! (ばかたれ!!) 「……バカたれってなんだよ」 私は凍り付いた。
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