夏休みの終わりの日

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夏休みの終わりの日

夏休みが終わってしまう。 また学校が始まってしまう。 またたくさん他に人がいる中、誰とも話さない毎日が始まる。 授業で2人組や3人組を作らされると必ず僕1人だけがあまる。 休み時間のたび、必死で本を読む。1人でさびしいヤツに見られないように、必死で本をよむ。本が読みたくて1人でいるように見えたいから、必死で本を読む。ほんとは本を読むのは好きじゃない。本のなかの人たちはキラキラしてて、自分と比べてしまうから。 勉強ができるわけじゃない。運動も苦手だ。話が面白いわけでもない。学校に居場所がない。 まるで僕は透明人間だ。ただ毎日学校に言って、誰とも話さず帰ってくる。いてもいなくても同じ。 たまに誰かに話しかけられても、驚いてうまく返事なんてできない。 学校行きたくないなぁ。 僕の住むマンションは5階建てで、階段の踊り場は柵があるだけで外が見える。 5階までのぼって柵に手を掛け上を見る。よく晴れている。下を見る。暑いからか誰もいない。 ここから飛び降りたら明日学校に行かないですむ? 5階じゃ死なないかもしれないけど、怪我はするだろう。そうしたら明日学校に行かなくていいよね? アスファルトに横たわる、手足がおかしな方向に曲がった自分を想像する。痛いだろうな。でも、明日学校に行かなくていいんだ。 お母さんもお父さんも仕事でいない。近所の人との付き合いもあんまない。見つけた人は親とすぐに連絡が取れないだろう。そうすれば僕の治療も少し遅れて、重症になるんじゃないかな?そうすれば学校に行かなくていい日が増える。 下には誰もいない。今がチャンスだ。 僕は柵を乗り越えた。
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