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「模擬挙式の体験、試食までさせて頂いて申し訳ないのですが、そろそろ帰らないといけない時間でして。どうするかは二人でじっくり検討させて頂きます」
二神さんはすらすらとした口調で紳士笑顔を浮かべながら言ってのけた。
「そうですか。では、またお越しいただけることを心よりお待ちしております。本日は遠路はるばる、誠にありがとうございました」
百瀬さんは、お土産のお菓子やパンフを私たちに持たせると、迎賓館の階段下までお見送りしてくれた。
最後まで笑顔を絶やさない百瀬さんに私も笑顔を返し会釈をする。
そのまま私たちはラビータ迎賓館を後にした。
「…ふ――――っ…」
と、上司である二神さんの車なのに、乗り込むなりつい張っていた肩の力をだらっと抜いた。
「疲れた?」
二神さんは、ハンドルを握ったまま苦笑いを浮かべた。
「…あ。すみません。私、気を抜きすぎですね」
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