*シンデレラの階段*

20/29
前へ
/29ページ
次へ
いけないいけない。少し気持ちを聞かせてもらえたからってすぐに調子に乗る! 上司でもある、二神さんの横で何気を抜いてしまってるの! まだ、仕事は終わっていない! 私はシートに凭れるのをやめて、背をしゃんっと、伸ばし直した。 「いや。無理しないでいいよ。慣れないことして緊張しただろ。これから一時間かけて帰るんだし、リラックスして寛いで」 「は、はい…」 …そう言っていただけるなら少し、リラックスしてみようかな…。 でも、二人だけの車内。仕事が終わって一息つきたいところだけど、別の緊張が強まった。 …やっぱり完全に寛ぐなんて無理! できないものは、できないのであります! 「さっき支配人に電話したら、うちのブライダルフェアは問題なく終わったって。成約も僕が出る前に三本決めたし、今日はこのまま直帰してもいいとお許しが出た」 「あ…そうなのですね! よかった」 「よかった?」 二神さんは食い気味に私の言葉を拾い、繰り返した。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

133人が本棚に入れています
本棚に追加