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「え…? えっと、ブライダルフェア無事に済んで良かったなぁって…」
なんかまずいこと言ったかなと、おっかなびっくり運転する二神さんの横顔を覗く。
「あ、直帰! よかったですね。二神さんいつも帰りが遅いでしょ? 今日は珍しく早めに帰れるのじゃないですか?」
何か言われる前に私から質問を浴びせた。
「まぁね。美崎さんも今日はもう帰っていいよ。このまま君のアパートに向かっていい?」
「あ、はい。ありがとうございます」
私の手荷物は今手に持っているバッグだけ。インターを降りれば、仕事場のプレジールより私の家のアパートの方が近い。
昼間着ていたスーツを入れた袋もあるし、私は二神さんの申し出をありがたく受けることにした。
帰りの高速でも渋滞にはまることなく車は快調に走り、あっという間に県外から戻って来た。
車窓の外は見慣れた街並みが広がっている。まだ陽は沈んだばかりで、目に映る世界すべてが茜色に染まっていた。
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