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「光太郎さん、お変わり御座いませんでしょうか。
先日のお約束、滞りなく遣り通せました。
でも光太郎さん、十七の娘にいきなりご両親の元へ行かせるなんて、早和は意地
悪だと思いますよ。
ものすごく緊張して、何度もおうちの前を行ったり来たりいたしました。
偶々、お母さま・・・いえ、光太郎さんのお母様がお買い物からお帰りにならなかったら、私は多分・・・夜までうろうろとしていたでしょう。
ああ、でもやはり光太郎さんのお母様ですね。
とても気品高くお上品で、わたしは石のように固くなってしまいました。
でも、そんな私を・・・真千子お母さま・・・と呼ばせて頂きますね。
実の娘のように接して下さり、帰りには●●●●●●●●●●●●●●●●を持たせて下さいました。
そして又、いらっしゃいと言われた時には、顔に電気が点いた様になってしまったと思います。
大学の一ノ瀬教授もお優しい方で、薬缶のようにつるつる光る頭に何度笑ってしまいそうになってしまった事か・・・。
こうして光太郎さんの事を少しづつ知ることが出来る嬉しさを感じています。
どうぞ、御奉公お忙しいでしょうが御身御自愛下さいまし。
葉月十五日 早和」
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