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完璧男子に類なし before
・・・気に入らない。
何がって、あれ、だ。
「いらっしゃいませ。お預かりいたします」
「お願いしまーす」
「合計で1085円です。こちら、温めますか?」
「はい、お願いしまーす」
「かしこまりました。少々お待ちください」
レジを打つ瀬戸の前に、女子の行列。
せっかくコンビニでバイトしている瀬戸を見てやろうと思って来たのに、
気分が悪くなるものを見てしまった。
女とはどうしてこうも卑しいのか。
何が「お願いしまーす」だ。
いつもより何オクターブも高い声、使ってんじゃねぇよ。
そもそも、もうひとつレジ開けろよ、店員。
いくら夜とはいえ、こんなに列が出来てんだぞ。
店長を呼んで来い、店長を。
「ご一緒に、こちらのから揚げはいかがでしょうか?今なら1個増量中です」
「えー、瀬戸さんが言うなら買おうかなぁ」
「あはは、ありがとうございます」
バカか、瀬戸が言ってんじゃねえよ、マニュアルにあるんだよ!
勘違いも甚だしい。
俺は頭にきたので、立ち読みしていた雑誌を棚に戻す。
そして近くにあったものを手に取り、レジに並んだ。
「いらっしゃいませ」
瀬戸は、俺の姿を見ても動じない。
でも、俺が差し出した商品を見て、手が止まった。
俗に言う、避妊具ってやつだ。
少し動揺は見せたものの、すぐに平静を取り戻す。
「2100円です」
「はい」
「ちょうど、お預かりいたします」
ん?
なかなかレシートをくれない。
見ると、瀬戸が不安そうな顔で俺を見ていた。
なんだ?
「あの、レシートは?」
「え?あ、すみません!レシートのお返しです」
慌ててレシートを差し出す瀬戸。
なにかおかしなことでもあったのか、と訊ねようとすると、
並んでいた女子高生に押されてしまい、聞くことができなかった。
・・・後ろを見ると、女子の列は続いていた。
女子学生、OL、おばさん。
まったく、こいつはどの世代にも人気があるんだな。
・・・気に入らない。
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