完璧男子に類なし before

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だから秋空の下、瀬戸を待った。 無意識とはいえ、あんなに女子にいい顔しやがって。 しかもそれがほぼ毎日だろ? これはもう、お仕置きしかない。 3時間ほど待つと、ようやく仕事終わりの瀬戸が出てきた。 疲れている後姿に声をかける。 「瀬戸」 「え・・・橘?」 「お疲れ」 「お疲れって、ずっと待ってたのか?」 小走りで俺に近づいてくる瀬戸。 「どれくらい待った?」 「3時間くらい、かな」 「言ってくれたら上がる時間連絡したのに」 「いいんだよ。俺が急に・・・・・・お仕置きしたくなったんだから」 「え?」 瀬戸の手を引いて、もう誰もいないビルの中に入る。 スニーカーの音でさえも、あたりに響いた。 「た、橘?」 「お前さあ」 壁に押し付けて、瀬戸の顔の両横に手をつく。 少し、怯えていた。 「・・・バカな女どもに愛想、振りまいてんじゃねーよ」 「え、ええっ」 「見ててムカつくんだよ」 「だって、あれは仕事だろ。お客様には笑顔で対応って」 「うるせえ。そんな決まり、守るな」 ドラキュラのように、瀬戸の首筋に噛み付く。 そして、おもいきり吸い上げる。 「んあ・・・っ」 びくん、と震える瀬戸の身体。 唇が離れる頃には、赤い痕ができていた。
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