ロボットが来た

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ロボットが来た

くみは30を半ばに過ぎかかろうとしていた。 ルックスは人並みなのだが、コテコテの大阪気質が昂じて婚期を逃していた。家族から離れ神戸に一人住まいをしたのも、いつでも男を自分の部屋に呼び込むためだった。しかしその策略も今だ実現されたことはない。 くみは日曜の午後、パジャマ姿で織り込みのチラシに目を通していた。会社の同僚からは映画の誘いを受けていたが、男友達に食事に誘われていると断わった。 見栄をはったのだ。 同僚からの誘いを毎回受けては、男日照りだと思われるのが嫌だった。退屈な休みとなるのは分かっていたのだが仕方ない。 フト目に入ったチラシがあった。 「恋人型A.I新発売」とあった。 TVニュースでも最近の人工知能の発達ぶりは目覚しいと連日の報道でくみも耳にはしていた。誇大広告とは知りつつもチラシの文字を追った。 「あなただけを一生愛する男性型ロボット」 「浮気の心配いらず・一途2号」 などと女性の気を引くキャッチフレーズが並んでいる。 「叶うはずもない人間の男より、やっぱり現実的なロボットやろか」 くみは、思わず心のうちで呟いていた。
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