プロローグ

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

プロローグ

___深い深い群青。 無限に広がる蒼穹に彼はそっと息を吐いた。 ああ、持っていかれそうだ。 少しでも気を抜けば、儚く消え散ってしまいそうな意識。 正直なところ、自分の命などどうでもよかった。 皆に忌み嫌われ生きてきた自分の価値など、測るまでもないのだから。 ただ、このまま自分が消えてしまえば、彼女の存在までもが消えてしまいそうで。 幾度も廻るその運命に、自分はまた苦しめられるのだろうか。 いや、それもいいかもしれない。 それが罪の代償で、 運命なのだから。 「……ッ、ぐ……」 地に広がる赤黒い液体を視界の端に捉え、再び空を見つめる。 ああ、そろそろ迎えが来たみたいだ。 「…………ごめん、な」 ____次は、キミに託すよ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!