2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
プロローグ
___深い深い群青。
無限に広がる蒼穹に彼はそっと息を吐いた。
ああ、持っていかれそうだ。
少しでも気を抜けば、儚く消え散ってしまいそうな意識。
正直なところ、自分の命などどうでもよかった。
皆に忌み嫌われ生きてきた自分の価値など、測るまでもないのだから。
ただ、このまま自分が消えてしまえば、彼女の存在までもが消えてしまいそうで。
幾度も廻るその運命に、自分はまた苦しめられるのだろうか。
いや、それもいいかもしれない。
それが罪の代償で、
運命なのだから。
「……ッ、ぐ……」
地に広がる赤黒い液体を視界の端に捉え、再び空を見つめる。
ああ、そろそろ迎えが来たみたいだ。
「…………ごめん、な」
____次は、キミに託すよ。
最初のコメントを投稿しよう!