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翌日会社に行くと、同僚達から似合うと言われ気を良くした。
その晩風呂に入り 12ミリを飛ばして9ミリのアダプターで刈り直し、
嫁の奏を呼んだ。
「カナさん どないやろ」
「・・・・・それなんミリやの」
「9ミリ」
「アダプターいらんやろ。わたしが刈ったるわ」
「アダプターはいるやろ」
「いらんわ。そこまでやったら徹底しぃ!!!あいかわらず詰めが甘いねん!!!」
「いや。いるやろカナさん」
坊主頭を押さえつけられると、
いきなりバリカンの冷たい刃が頭皮に食い込んできた。
ものごとの果てをみないと気がすまない。
程々と言う台詞に耳を貸さない。
知り会った頃からこの女はそうだった。
「カナ、ほどほどにしいや」
「この根性なしが!なに寝言言うとんねん!!!」
「おれにも美意識はあんねんぞ」
「ふーん・・・・・あっそ」
電動バリカンの容赦ない刃が、みるみる短い髪の毛を風呂場の床に落としていく。
「ホォラ。似合ってんで。惚れ直したやんか」
女は恐ろしい。
そして偉大だ。
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