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内容は“森に入った侵入者を見てきてほしい”というなんともシンプルかつ面倒なものだった。
《森に害をなすような者ではないと思うのだが如何せん確信が持てぬでな。》
本来ならこんな面倒極まりないことはよほどのことがない限り断っていたのだが長の頼みは断りづらい。
「…様子だけ見て早々に帰るとするか」
大きな独り言を言い、後獣化をして侵入者を探しに走り出した。
そうして侵入者を見つけたのは長と対話した所から我が国の方へ半分ほど降った場所に流れる川だった。
着ている服にも驚いたがそれよりも獣の匂いが全く感じられないことに驚いた。
通常の獣人ならば各獣の匂いがするはずなのだが、侵入者からは今まで嗅いだことのない匂いがする。しかもあの小ささでは完全人化は出来ずどんなに上手な者でも尾や耳、鼻や手など2ヶ所ほどは獣のままのはず。
だが侵入者からは獣の部分が全く見られない。
…これは厄介者を押し付けたな。
そう思わざれを得ない案件だった。
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