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あー、さすがに帰るところないってのは言わない方がよかったかな…
とか考えていると視界にニュッと二本の腕が見えて、あっという間に高い高い状態になった俺。
ビックリしていると
「よく教えてくれた! 偉いぞアキラ‼️ ニホン…というのか? 我が国と隣接する国ではないがさすがに海を越えて来たわけではあるまい。それにしてもよくここまで言葉を覚えたな、偉いぞ!」
と、興奮しているディウブがぐるぐる回り始めた。
「陛下‼️ 危険です‼️」
とアーキルさんが叫んでいるが気にせずぐるぐるぐる
こんなこと久しぶりすぎて頭が追い付かずなすがままの俺。
下ろしてもらった頃にやっと
『拒絶されなくてよかった』
と思った。
「まったく…どっちが子供かわからないじゃないですか…お茶も冷えてしまいましたね」
飽きれ声でアーキルさんがティーポットを持って部屋を出てしまった。
「あー、その、すまなかったな、いきなり持ち上げたりして。これで許してはくれないか?」
そう言ってディウブが取り出したのは缶の箱だった。「開けてみるといい」と言われたので開けるとカポリという音と共にふんわりバターの香りがした。
「これはな、隣の国に行ったときに旨そうだったから買ってきたんだ。」
そう言って俺が持っていた箱から一つ、クッキーをつまんで自分の口にいれたあと、もう一つつまんで俺の口に近づけた。
口を開けた瞬間に強くなるバターの香り。口を閉じて噛むごとに広がる甘い味。ホロホロ食間。間違いない。俺の知ってるクッキーだ。うまぁ…
「ん"ん"っ。そんなにキラキラしながら食べなくてもこれはお前にやるぞ」
「え、ほんと!? 私嬉しいです」
そんなにニヤニヤ食べてたかな…
顔を隠しながらモゴモゴしているとアーキルが戻ってきて、俺にもお茶をくれた。
せっかくなので皆でクッキーを食べた。久しぶりに食べたクッキーの味はほっぺが痛くなるほど美味しかった。
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