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そのあとも家事について少し話をした。何故か新しく覚えた言葉は復習するという課題を出されげんなりしたところで宮内食堂に着いた。
まだ営業していて、何人かお茶を飲みながら本を読んだりフルーツを食べたりしている。
朝とは違い静かでカフェのような雰囲気になっている。
アーキルさんはそのままカウンターの方へ行き、「すみません」と厨房へ声をかける。
「はーい」と、パタパタしながら中の人が出てきた。
「アーキルさん、いらっしゃい! 厨房使いたいって話でしたよね。その子は…噂の少年?」
「はい。あきらといいます。今日はお願いします。」
「いいですよー!僕とアーキルさんの仲だし、貸し出し料も頂いてるので。使ってくださいな!」
何やら店員さんはアーキルさんと親しいようだ。
話を遮るのは悪いけど、
「あの、こんにちは、章です。今日はお忙しい中、厨房を貸してくださりありがとうございます。邪魔にならないようにしますので、よろしくお願いします。」
ペコリ、お辞儀をする。
「うん。随分とお行儀のいい子だね。僕はラートゥだよ。こちらこそよろしくお願いします。」
うんうんと頷いた後で頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「あああの!! 噂の少年とはどう言うことですか?」
「そうです。何か良くない噂などないですよね?」
俺が頭を撫でられながら質問すると、そういえば、と一緒にアーキルさんが質問する。心なしか声が鋭い。
撫でるのをやめてラートゥは笑いながら答えた。
「ちょ、アーキルさん、そんな険しい顔しないでくださいよ。噂はね、『最近、朝食べに来る子供がハムスターみたいに頬張って食べるから可愛い。』『話すと面白い。可愛い。』『少食で心配。可愛い。』って言うのが多いですね。官僚様より騎士の皆さんが朝誰が隣に座るか競ってるよ。」
子供とか可愛いとか…俺って何歳に見られてるんだろう…
そんな風に言われてたなんて知らなかった。だから皆優しいんだな。ムキムキマチョマチョで強面の人もいるから子供に逃げられるのかな…
「あぁ、そういう…」
険しい顔が少し緩んだアーキルさんはちょいちょいとラートゥさんを手招きし、声を潜めて話したした。
一体何を話しているんだ…
ボーッと食堂内を見渡していると私服姿のムキマチョナイスガイと目が合って手を振られた。つられて手を振り返してから突然大きい声が聞こえた。
「えぇーーーー!!嘘でしおがごがが」
途中でアーキルさんがラートゥさんの口を塞いでいる。アーキルさんは渋い顔。ラートゥさんはビックリ顔で目が飛び出そう。
「ぷは、わかりました。来たときは気にかけておくから。OK?」
「何卒お願いしますね。」
何か楽しそうだなー。
お、話終わったみたいだな。二人とも此方戻ってくる。
「お待たせ。じゃあ中で作ろっか。」
異世界厨房でLet's cook!!
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