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厨房は広くて動きやすい作りになっていた。
入口付近を空けて、それ以外の壁にに調理台とコンロ、窯、真ん中には調理台が置いてある。それとは別に端っこの方にこじんまりとした流しとコンロ、窯があった。
「このブースは自分でご飯を作りたい人に貸し出しをする台所なんだ。ボウルや鍋、包丁もここに入ってるよ」
調理台の下の棚戸を開けてどこに何があるのかを説明される。
思っていたよりも器具があり、これなら材料さえ揃っていれば作れそうな気がしてきた。
しかし、当たり前だが今まで使ってきた電子レンジや電子オーブンがなく、代わりにあるのが窯。
いや、高校生は使わないと思うよ、多分。
「ここの場所の説明はこれくらいかな~。じゃあ次は食糧庫に案内するね。」
食糧庫は外にあり手を翳すと開くらしい。
本来なら材料は持ち込みで行うらしいが特別に使って良いそうだ。
「作りたい物は決まりましたか?」
アーキルさんが顔を覗いて訪ねてきたので、まだ言っていなかったことに気づいた。
「『プリン』を作ろうと思います。」
「「ぷりん??」」
二人が同時に首を傾げる。
「卵と乳、きび砂糖で蒸して作るんです。」
本当ならゼラチンで固めても美味しいけど、俺は入れずに蒸して暖かい内に食べたい派。
カラメルも作っても良いけど、いらない。
「それならいくらでも使って良いよ。乳って色々あるけど、どれが良い?」
「私の国で牛の乳が一般でした。」
「牛かぁ、うん。あるよ。」
これとこれと…これかな? と良いながらラートゥさんに撰んでもらって、アーキルさんが荷物を運んでくれた。
断ったが、逆に
「私はそんなに頼りなく見えますか?」
と眉の下がった顔で言われてしまいお願いした。
…お願いした瞬間にニヤリ顔されたけど。
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