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友人からの電話を切った後、新郎はあまりにも信じられない出来事に呆然としていた。そして、気がついた時にはある交差点に立ち尽くしていたのだ。
ピリリリッ…
携帯が鳴り、見るとメールが来ている。そして差出人は、亡くなったはずのA子からだった。
背中に冷たい汗がつたう。震える指でメールを開くと。
『一緒に逝きましょう』
嗚呼、昨日A子はこう言いたかったのか…と、何故か冷静に納得してしまった。
そして遠くでブレーキ音がする。
キキーィーッ!!
ドンッ!!
身体にはしるものすごい衝撃の後、ゆっくりと意識が遠のいていく。
途絶えそうになる意識の中で最後に見たもの…それは。
交差点に供えてある、いくつもの花束…の傍らで佇むA子の歪んだ笑顔。そして自分を跳ねた車から降りてきて、昨日式場で見た笑顔とはまったく違う冷たい表情で見下ろす友人の姿だった。
『俺の好きな人を苦しめた罰だ』
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