第一章 嫌い

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「山田くんって…かっこいいよね」 「…え?」 あたしの親友、友香(ともか)が言う。 ”山田くん”は、クラスで一番人気の男子。 優しくてかっこよくて、クラスの女子のほとんどが山田くんのことが好き。 そして、…あたしも。 「…なになにー?好きなの?」 おちゃらけた様子で聞いてみた。 「えっ!?あ、いや、そんなんじゃ!」 頬を赤らめて一生懸命否定する友香を見て、確信した。 友香は山田くんのことが好きなんだ。 山田くんのことを好きなのはあたしだって同じ。 だから、 「そっか。よかったー!あたし、山田くんのこと好きなんだよね。友香が好きじゃないなら、安心」 意地悪をしてみた。 「…そ、そうなんだ……」 明らかに悲しげな表情をした友香。 あたしはこういう女が嫌いだ。 だってなんだか、自分がこの世で一番可哀想って思ってそうだから。 ……あたしってとことん嫌な女。 親友のことをこんなふうに思うなんて。 きっと、あたしのこんな気持ちを友香が知ったら、あたしのことなんか嫌いになるだろう。 でもいい。 山田くんに好かれたい。 そのためなら、あたしは何だってする。
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