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「山田くんって…かっこいいよね」
「…え?」
あたしの親友、友香(ともか)が言う。
”山田くん”は、クラスで一番人気の男子。
優しくてかっこよくて、クラスの女子のほとんどが山田くんのことが好き。
そして、…あたしも。
「…なになにー?好きなの?」
おちゃらけた様子で聞いてみた。
「えっ!?あ、いや、そんなんじゃ!」
頬を赤らめて一生懸命否定する友香を見て、確信した。
友香は山田くんのことが好きなんだ。
山田くんのことを好きなのはあたしだって同じ。
だから、
「そっか。よかったー!あたし、山田くんのこと好きなんだよね。友香が好きじゃないなら、安心」
意地悪をしてみた。
「…そ、そうなんだ……」
明らかに悲しげな表情をした友香。
あたしはこういう女が嫌いだ。
だってなんだか、自分がこの世で一番可哀想って思ってそうだから。
……あたしってとことん嫌な女。
親友のことをこんなふうに思うなんて。
きっと、あたしのこんな気持ちを友香が知ったら、あたしのことなんか嫌いになるだろう。
でもいい。
山田くんに好かれたい。
そのためなら、あたしは何だってする。
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