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夏がやってきて、花火の季節になった。
あたしは花火大会に行こうと友香を誘い、そして山田くんとその友人を誘った。
友香は山田くんが来るということを知ると、少し不安そうだった。
そんなことはお構い無しに、
「あのさ」
あたしは友香に話を切り出す。
「実は、花火大会の日に告白しようと思ってるんだ」
「……え?」
不安そうだった友香の表情は、すぐに驚いた顔になる。
「ほら、結構アピールしたし、そろそろいいかな~って!それにさ、山田くんも満更でも無さそうだし…?」
「……そうなんだ。……頑張ってね。応援してる…」
友香は俯いて、少し泣きそうだった。
あたしはニヤリと笑う。
『悪女』
あたしにはそんな言葉がお似合いだ。
夏休みに入り、花火大会当日がやって来た。
入念にオシャレをして、浴衣を着て、今日のあたしはいつもより可愛いと思う。
待ち合わせ場所に行くと、山田くんが先に来ていた。
その隣には、浴衣の友香がいた。
楽しそうに話す二人を見て、イラついた。
「お待たせ~!」
友香は、テンション高くやって来たあたしを見つけると、すぐさま山田くんから距離をとった。
「おっ、浴衣似合ってるじゃん」
あたしは山田くんの隣に並び、
「ありがと!」
と言う。
少し離れた友香は、また寂しげだ。
可哀想な友香。
それから他の友人たちも来て、花火を楽しんでいた。
山田くんの隣は常にあたしがキープして、友香を寄せ付けないようにしていた。
そして、みんなが花火に夢中になっている間に、あたしは山田くんに「話がある」と言って、二人だけで抜け出した。
もちろん友香は気づいていたようだったけど、見せつけるつもりだったから計算通り。
あたしの告白は、成功して終わる。
そう確信していた。
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