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人気(ひとけ)のないところへ山田くんを連れてきて、少しザワつく胸を抑える。
「で、話って?」
山田くんは、花火を気にしながらあたしに問いかける。
「…あのさ、あたし……」
「山田くんのこと、好きなの」
「……え?」
予想だにしていなかった、そんな顔をしている。
そこそこ山田くんと仲もよくて、クラスでも結構かわいいあたし。
振られる、なんて選択肢はなかった。
「……気持ちは嬉しいけど…
ごめん」
頭が真っ白になった。
これでも結構勇気を出したつもりだ。
こんなに一瞬にして、想いを壊されるとは思っていなかった。
「……好きな人、いるの?」
ムカついて聞いてみた。
「あー…お前にだったらいいかな。……実は俺、藤井のことが好きなんだ」
藤井。
藤井友香。
「……嘘でしょ…」
ムカついてムカついてムカついて……何が何だかわからなくなった。
すると、近くにあった芝生からガタッと下駄の音がした。
音がした方を向くと、友香が立っていた。
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