第一章 嫌い

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人気(ひとけ)のないところへ山田くんを連れてきて、少しザワつく胸を抑える。 「で、話って?」 山田くんは、花火を気にしながらあたしに問いかける。 「…あのさ、あたし……」 「山田くんのこと、好きなの」 「……え?」 予想だにしていなかった、そんな顔をしている。 そこそこ山田くんと仲もよくて、クラスでも結構かわいいあたし。 振られる、なんて選択肢はなかった。 「……気持ちは嬉しいけど… ごめん」 頭が真っ白になった。 これでも結構勇気を出したつもりだ。 こんなに一瞬にして、想いを壊されるとは思っていなかった。 「……好きな人、いるの?」 ムカついて聞いてみた。 「あー…お前にだったらいいかな。……実は俺、藤井のことが好きなんだ」 藤井。 藤井友香。 「……嘘でしょ…」 ムカついてムカついてムカついて……何が何だかわからなくなった。 すると、近くにあった芝生からガタッと下駄の音がした。 音がした方を向くと、友香が立っていた。
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