四十九日の晩に

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そうして、寝室に借りていた座敷に取り付けられていた時計が四時半を告げた頃。 それまで火が付いたかのように泣き続けていた姉が、何の前触れもなくピタリと泣き止むとそのままスゥスゥと眠り込んでしまったという。 “やっと眠ってくれた。いったい何だったの?” 疲れ果てながら姉の顔を見つめていた母は、そのとき玄関のドアを開けて誰かが外へ出ていく足音を耳にした。 “あ、誰か外に出た” 娘の夜泣きのせいで、きっと他の人たちも眠れなかったのではないか。 そんなことを思い、母はどうにもばつの悪い気分になりながら眠りについた。 その後、数時間の睡眠をとり起きた母は既に台所で朝食の準備をしていた親戚たちの元へ行くと、 “あのう、昨晩は申し訳ありませんでした。娘の泣き声、うるさくしちゃったでしょう?” と、頭を下げた。 “随分長い時間泣いてたわね。いつもあんな感じなの?” “こっちも寝不足よ”
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