7人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて。冗談はこのくらいにして」
トーマはナプキンで上品に口元をぬぐって、ジョウに向き直った。
「冗談でこんな有様になるのかよ」
ジョウはそう言うと、追加追加で三枚重ねになってしまった伝票をひらひらさせた。
「育ち盛り食べ盛りなのだよ。私は。それに、無為に食べていたわけではないぞ。ちゃんと考えあっての事だ」
へいへい、何ですかね、とコーヒーカップを乱暴に傾けるジョウに、トーマはチョコレートフォンデュの串を突きつけて凄んだ。
「真面目に聞きたまえ。事件解決の重要な鍵なのだぞ」
ジョウはそこでようやく、揃えていた参考資料がいつの間にかトーマの手元に重ねられていることに気付いた。
どうやらもぐもぐしながらも目を通して、彼なりに思いを巡らせていたらしい。
「被害者は15歳から18歳の男女。細かく言うと男子が3人。あとは女子が8人。そのうち一名はうちの生徒。女子の方が多いな」
「圧倒的に女子が多い。犯人は女好きのジョウなんじゃあないのか」
シンラの言葉に、一瞬目をサンカクにしたジョウだったが、トーマはそれを制すると淡々と続けた。
最初のコメントを投稿しよう!