3章

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ぺた。 ぺた。 裸足の子供がつるつるに磨かれたコンビニの床を歩けばこんな音が出るんじゃないだろうか。そんな音が松野の背後から聞こえた。 「………………」 いよいよ本気で泣きそうになってきた松野。 (嘘だろやめろよガチのやつじゃねえかマジでやばいってなんで俺がこんな時に嫌だ帰りたい) 今にも爆発しそうな勢いで体内の心臓が暴れまくる。全身の血が普段の倍以上のスピードで流れている様な錯覚を覚える。ドアを掴む手指先は震え満足に力を伝えられない。 ぺた。 ぺた。 (やばいやばいやばいやばい開け開け開け開け開け!!!) 渾身の力を手先に込め全てを絞り出すようにドアをこじ開けようとする。だが、まるで万力で挟まれているかの様にビクともしない。 ぺた。 ぺた。 そこでついに足音が止まる。足音の主がどこかへ消えた…………そんな超希望的観測が頭を掠める辺り彼の精神は既に限界が近い事が伺える。足音の主が居なくなった訳ではないなら、足音が止まったその訳は。 (――――――い、る。今、俺の、背後に、誰か…………いや、何かが、確実に…………っ!!)     
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