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4章
「…………つーわけなんですよ。はは、いきなり何言ってんすかね俺、すんません急にこんな話されても訳分かんないっすよね…………」
ぽつりぽつりと紡ぐ様に自身に起こった異常な現象を話終えた松野は全身から力を抜く。
そんな松野の荒唐無稽な話を黙って最後まで聞き終えた女は優しく彼の肩に手を置いた。
「ううん、信じるわよ。世の中『現実』って言葉だけじゃ説明しきれない事がたくさんあるもんだしね」
その言葉にぶわっと松野の目からさらに涙が溢れる。
「あの、真顔のまま号泣しないでくれる? それも結構ホラーだから。それにしても顔の無い女の子ねぇ…………それって有名なのっぺらぼうって妖怪なのしから」
「あー、言われてみれば確かに…………。顔が無いだけの妖怪なんて何が怖いんだって思ってたけど、考えが変わった、顔が無い人超怖え。…………それにしても良くこんな話すんなりと信じてくれましたね、自分で説明してても何言ってるか分かんなくなってるってのに――――」
「実はあたしもね、見たことあるの…………のっぺらぼう」
女の言葉に松野はどきりと身を震わせる。
「…………へ? あんたものっぺらぼうを見たことが…………? 一体どこで――――」
「どこでって…………そんなの決まってるじゃない」
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