4章

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そこで彼は女の雰囲気が一変したことを全身の肌で感じる。 背筋に冷たい何かが走る感覚を覚えた彼は後ずさる様に女と距離を取ろうとする、だが―――― 「あの、もう大丈夫なんで、離してもらってもいいっすか」 松野の肩に優しく置かれていただけの女の手が、がっちりと彼の肩を掴んでいた。 落ち着きを取り戻しかけていた松野の精神に再び、恐怖心というの名の毒蛇が鎌首をもたげるようにして顔を覗かせた。 そういえば、とふと思う。 (―――――俺はこの女の顔を一度でも目にしたか!?)
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