4章

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盛りに盛った髪型と濃い化粧の派手さばかりに目を奪われ、当たり前の部分を確かめる事を怠っていた。目を大きく見せるため、鼻筋を細く見せるため、唇に魅力持たせるため、化粧というのは顔の部分部分をより良く見せるためにするものだ。 だからその化粧が施された顔を見て、『顔』が無いかもしれないなど思いもしないだろう。 「どこでのっぺらぼうを見たか知りたいんでしょ? 結構どこにでもいるものよ、勿論あなたのすぐそばにも―――――」 「――――――――――!!?」 最後に松野の瞳に映ったのは、異様なまでに滑らかで不自然なほどに凹凸の無い肌色だった。 一度気を抜いたところに、精神の限界を超える衝撃を叩き込まれた松野はその場で意識を手放した。
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