2章

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2章

「というわけで、簡単な説明だったけど深夜勤務の大まかな流れは分かって貰えたかな」 「あーハイ大体オッケーっす」 バイト募集の広告を見た松野がそこに書かれていた連絡先に電話した次の日には既に採用が決定していた。なんでも深刻な人手不足らしく面接でバイト経験者という事を一言言っただけでその場で採用を決めたらしい。 「じゃあ早速、次の月曜日からお願いしたいんだけど松野君予定とか大丈夫?」 「昨日から大学の方も夏休みなんで毎日でも入れるっすよ」 彼の言葉に店長は感激したのか眼尻に涙まで浮かべて感謝の言葉を述べる。その様子によほど人手不足に悩まされていたのだろうと、軽く同情する松野。 「本当助かるよ。こういう職種って割と従業員の入れ替わりが激しいんだけどね、この店もご多分に漏れず…………というか深夜帯は特になんだけど。長くて一週間、酷い時には初日の勤務で朝には店からいなくなってた、なんてこともあったぐらいだ」 初日にバックレる輩が出るレベルってどんなブラック企業に来てしまったのかと軽く後悔し始めた松野、だが店長の続けて吐いた言葉がさらに彼の後悔を加速させる事となる。 「実は…………さ、出るらしんだよこの店」     
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