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魔法使いになっちゃった......の?
写真の中で満面の笑みを浮かべる聖美――
その周りには多くの花が綺麗に飾られている。住職のお経が響く中、線香の匂いとあちこちですすり泣く音が聞こえる。
助けてあげれたと思った――
あの時、ちゃんと守れたと思っていた......だけだった。
焼香を済ませ棺の中を覗くと、血色が良く見える肌の色、今にも起き上がりそうな聖美が目を閉じている。
もし、私に魔法が使えたら......
聖美をこんな気持ちにさせることはなかった!
あんな男を消しさって、何もなかった事にする、そしていつも通り、一緒に登校出来たのに......
魔法が使えたら......
魔法が使えたら......
私は不細工に上を向いた鼻の頭が真っ赤になるぐらいに、棺を抱きしめて大声で泣いた。足に力が入らなくなってきて、倒れそうになるのを誰かに支えられると更に声を上げ、泣き喚く。
いつの間にか、私は意識を失っていた......
............
「この子は、愛している相手に裏切られ、傷つき、自殺しました」
朦朧とした意識の中で、声のする方を見ると、白いスーツ姿の女性が私の目の前に立って見下ろしている。
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