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聖美に彼氏ができたと聞いた日から一ヶ月後、突然スマホが鳴った――
『私、三番目なんだって......浮気されてた......もう、死ぬ』
『ち、ちょっと聖美!』
一方的に通話が切られる、正直「またかよ」と思ってしまう、というのもこれが初めてではなく、彼女は彼氏に振られるとすぐに死のうとする、もはや癖とも言えるこの行為だが、黙って見てはいられない。
お風呂上がりの私はパジャマのまま、階段を駆け下り「お邪魔します」の言葉と同時に隣にある聖美の家へ飛び込み、ドタドタと階段を上がり聖美の部屋へと入る。
「聖美!」
もう既にカミソリで手首を切っていた。
意識はハッキリあるようで、突然ドアを開けた私を見て、驚き目を見開いている。
「ま、真知?」
「何やってんのよ!」
私は首からかけたタオルで止血し、おばさんとおじさんを呼ぼうと、大きく息を吸い込む。
「待って!!」
聖美が咄嗟に私を止める。
「なんで?」
「誰にも......知られたくないの......」
聖美は俯き、肩を震わせる。
こんなに可愛いのに......
私は聖美を抱きしめ、「もう大丈夫、大丈夫」と何度も耳元で囁いた。
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