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「恋の力というものは、恐ろしい......時には生きる糧になり、時には命を奪う」
後光が激しく輝き、眩しくて女性の顔が見えない。
女性は手のひらを私に向けると、目の前に小さなアタッシュケースが、現れた。
「この中には、天界の水が入っています」
「天界の......水?」
「天界では、人の生死をも操作できる力を持つことができるのです」
私はアタッシュケースを手に取ると、そっと開けてみた。
中には、ラベルこそ無いものの、一人で飲み干すには丁度良い大きさのペットボトルが二本、丁寧に収まっていた。
「強いて言うならば、あなた達のいる世界では魔法と呼ばれているものです、つまりその水を使用する事によってあなたは、魔法使いになる訳です」
「使うってどうすればいいのですか?」
「飲ませるだけです。この水は、あなたの心と連動します。一口でも体内へ入ると、あなたが敵意をもつ相手ならば水は毒になりその存在を消滅させます。逆に好感を持つ相手ならばお互いを永遠に両想いにすることができます」
アタッシュケースから二本のペットボトルが浮かび上がり私の前に置かれた。
差しあたり私は、恋の魔法使いって事か......
「しかし、誰かにあなたの事を知られると、あなたは消滅します」
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