身近にあるもの

日常

朝、6時20分。

いつものコンビニで、いつもの栄養ドリンクとおにぎりを買う。

「いらっしゃいませー」

レジに居た若い女の店員が笑顔で言ってきた。

２ヶ月位前から、この時間帯にいる。

(若いのに、こんな朝早くから、御苦労な事で…)

心の中で店員を労った。

「……」

無言で買いたい商品を出し、女の店員がバーコードをぴっ、ぴっ、と読んで、商品を袋に詰め始めた。

「982円になります」

俺は財布から千円札を出して、店員が受けとると、笑顔でお釣りとレシートを渡してくれた。

「18円のお返しです」

お釣りとレシートを受け取り、商品を入れた袋を渡され、無言で受けとると、店員が言った一言に、何も無かった俺の日常が、少しだけ変化した。

「いってらっしゃい」

軽く右手を上げて、笑顔で言われた。

「え？…あ…い、いってきます…」

何時も『ありがとうございます』だったから、急に予想していなかった言葉に、思わず返してしまった返事。

俺はコンビニを出るとき、女店員の名札を見た。

(三井さん…か…)

この日は、これで終わった。