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○
隣の席になった彼は、頬杖をついて窓の外を眺めている。
今日からこの学校の2年生となった男の子。
その髪は漆黒で美しく風になびいている。
「おい北川。どこ見てるんだ。君の番だぞ。」
先生が自己紹介タイムと書かれた黒板を叩く。
速水先生に注意されて我に帰った私は、
出身中学と趣味など、無難なことを言って自分の番を終わらせた。
そして山城くんの番になると、
「山城佑です。よろしくお願いします。」とだけ言った。
「それだけか?山城は今日が初めてなんだから、
いっぱい紹介しとけ。なんか特技とかないのか」と早水先生。
それに対し、
「特技は空手です」とこっちを見ている女子たちの視線を受けながら言った。
その顔は無表情だ。
私は、何かを諦めたような、
捨てられた子犬のような彼の目が気になって脳裏から離れないのだった。
そして、この数日後、
山城くんはたくさんの女子達に告白される。
そしてそれらを全部断る彼は、学校中の噂になる。
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