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○ 気がつけば辺りは火葬場になっていた。 私は魂だけが宙に浮いているみたいに、離れてその様子を見ている。 親はずっと下を向いていた。その表情からは泣いているのか内心喜んでいるのか分からない。 介護士になりたいと言ってムリして大学に行かせてもらったくせ途中で夢を諦めた上に、夫と駆け落ちした私なんて、いない方がマシだろう。 私は醜い自分が大嫌いだ。 もしかして絵美も、そんな私にせいせいしてあんなことに… すると向こうから知っている顔が現れた。 あれは、確か私の初恋の相手…そう山城佑(やましろ ゆう)だ。彼の目には涙が浮かんでいた。 もしかして想いを伝えられていたら、今頃山城くんと一緒になって幸せだったのかも…そんなことを思った。 と同時に、あの頃想いを伝えることさえできなかった後悔が押し寄せてきた。 変わらない彼の独特な存在感に、死んでいても私の心はときめくらしいのだった。
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