父の友人は変化を告げる

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丁度早田が注文した2人分のモーニングセットが運ばれてきた。 「少し堅い話になるけど、それ食べながら聞いてくれないか」 早田自身そう言いながらトーストを頬張る。 結衣もサラダのトマトを口に入れる。 「先日、30歳以上の独身課税が始まったのを知っているかい?」 「ええ、ニュースでやっていましたから」 「あれは今後30歳以上の独身者を減らす、つまり早期結婚を狙ったものなのはわかるよね?」 「えっ、そうだったんですか?」 「…… 」早田はゆで卵を頬張る。 「我が国は2024年には65歳以上の老人が人口の3分の1を超え年金財政を食い潰すことになる。 現在の年間出生数は約97万人で、このままなら100年後には日本の人口は現在の半分以下の5000万人になる。 当然人材不足が顕在化し、国家の運営は成り立たなくなる。 原宿通りがスカスカで、シャッター商店街になるイメージだ」 「怖いですね」 結衣はトーストにジャムを塗りながら答える。
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