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「議長！」
一人の老議員が手を挙げる。
声の主を見て、僅かに顔をしかめたものの宇部総理は議長らしく老議員に発言権を与える。
「うむ、横溝君」
「一夫多妻制など今の日本で実現できるものではない。国民の大反対に合って政権も維持できず、経済も大混乱する。暴動さえ起き兼ねん。それこそ国家転覆というものだ。夢物語じゃ」
自公党内で宇部総理と派閥争いをしている横溝は歯に衣を着せない物言いである。
「もっとも、週刊群衆なぞに不倫疑惑で叩かれとる沼田官房長官などは一夫多妻制の方が都合がよかろうがね」
「何だと。対案の一つも出さず、文句しか言わないような幹事長はそろそろ引退したらどうだ。全ての法案の準備は我々がやってきたのだ。それとも何か案があるのか？」
今最も触れられたくない問題で名指しされた沼田官房長官は血相を変えて横溝に詰め寄る。
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