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「はい。ご説明致します」
横溝の脇に控えていた精悍な身体つきの男がきびきびとした動作で中央に進み出た。
短く刈り揃えられた頭髪やハキハキした話し方が如何にも軍人らしい。
「人間の脳は同じ事を考えるのに、個々人で情報の伝達経路が異なります。逆に言えば、その人独自の考え方のクセがあるという事です。
この考え方のクセを解析して、その人の感情を構成する経路を把握します。例えば好きは経路1で、嫌いは経路2だとすると。今までタバコを吸った時の経路が1であったならば経路2を通るように変えてやれば、タバコを吸うことが嫌になり、簡単に禁煙出来るという訳です。
プレゼンのスクリーン上では経路1が緑色、経路2が赤色で示されている。
途中の経路が違っても最後の判断部分だけ切り替えることで、本来何十億通りにもなる思考結果を単純化することが出来ます。
この要領で様々な2択の脳内情報伝達経路を切り替えるように使うことで応用範囲は広がります。
好き、嫌い。する、しない。良い、悪い。などなどです」
思いもよらぬ内容に会議室にどよめきが起こる。
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