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「そんなの、選択肢じゃないですよ」
そう呟いて、結衣は一気に書類に必要事項を書き始めた。
小さな文字が並ぶ説明など全て読み飛ばしてサインする。
「はい。出来ました」
「これで君をATDBのメンバーと認定する。今から君は私の部下として扱う。
そして全ての情報をメンバー以外に話してはならない。いいね? 」
早田は結衣に対して、けじめをつける様に言葉遣いを変えた。
「はい! 」
結衣の元気な声にメンバーは笑顔を向けてくれた。
「じゃあ、紹介しよう。
左の眼鏡の彼が岩崎君、3年目の先輩だ。
その隣が木村君。彼はこの研究所の全ての事を把握しているはずだ。
そして、右側の女性はもう知ってるね? 遠野だ。わからないことは相談するといい」
結衣はそれぞれのメンバーにお辞儀をして挨拶をした。
「我々のプロジェクトのメンバーは全部で156名いるが、通常は4,5名のチームで行動している。私はプロジェクトリーダーを兼ねているため、このチームのリーダーは木村だ。
ただ、君の教育係は直接私がやる」
学生から急に社会人の仲間入りをし、何か誇らしい気がしたが、その後聞かされたATDBの活動内容は結衣を大いに悩ませることとなった。
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