父の友人は変化を告げる

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「今から君に我々の活動の概要を話しておく。非常にレベルの高い国家機密であることは心して聞いてくれ。 ATDBは内閣府の直属機関で、その活動の指示については直接少子化社会対策会議から下される。 現在我々はQP-12という情報の脳内伝達経路を制御する装置の改良と応用範囲の拡張による婚姻数増加に取り組んでいる。 QP-12を使った脳内伝達経路の制御というのは、分かり易く言えば、君が嫌いな人物を好きにすることが出来るということだ」 「ええっ。それって洗脳装置じゃないですか!」 驚きのあまり、結衣の声は1オクターブ高くなってミーティングルームに響き渡る。 「技術的には少し違うが、今のところそういう理解でいいだろう。まず、話を先に進めさせてくれ。 少子化社会対策会議からの指示で、そういう強制的な意識変換による結婚推進は大阪支部で行い、我々東京本部ではQP-12を使った別のアプローチを命じられている。 我々の研究の結果、QP-12の機能で精密な相性診断が可能であることが明らかになった。 そこで我々はこの相性診断機能に基づいて結婚のサポートを行っている」
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