父の友人は変化を告げる

48/49
前へ
/228ページ
次へ
「ここでは洗脳結婚はしていないんですね? 本当ですか?」 結衣は泣きそうな顔をして早田を見つめる。 「ああ、嫌いなものを好きにするようなことはしない。安心してくれ」 早田の穏やかな口調に結衣も安心した様だった。 「でも、相性診断って今までも結婚紹介所でやっていますよね?」 「ああ、あれは別物だ。それについては木村から説明してもらおう」 早田の言葉を受けて木村が頷いた。 「一般の結婚紹介所が行っているのは、趣味が合うとか、好きな食べ物が同じとか、旅行先の好みが似ているなど、嗜好についての類似性を判断するものでした。 結婚をする時には一定の目安にはなりますが、結婚生活を続ける上での相性とは全く別物です。 我々の研究結果では、相性とは、何かの問題が発生した時に二人の考え方がネガティブにならない組み合わせの適合性を指します。 解り易く言うと、人は誰でも失言しますね? 例えば夫が妻に思わず失言してしまった時、その失言に対して妻が聞き流すか逆に冗談を言うなどポジティブに反応するような思考をすれば、その失言については問題が起こりません。 逆に過剰に失言を捉えて売り言葉に買い言葉で返すような反応をすれば夫婦の関係は悪化してしまいます。 このように何かが起こった時に、二人の考え方がポジティブ方向に向かうような考え方の組み合わせを相性診断の指標にしているのです」
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加