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父の友人は変化を告げる
―― 一年後 ――
結婚推進機構 早田 穂(はやた みのる)
父の友人という目の前の男が差し出した名刺にはそれだけが書いてあった。
住所も電話番号もない名刺には不信感で一杯だったが、父の友人と言われれば邪険にも出来ない。
数日前、結衣は突然結婚の話を持ち出した父親と喧嘩した。
「なんでまだ20歳なのに婚活するのよ。おかしいでしょ」
「結衣、これからは20歳でもおかしくなくなるんだよ。早く結婚した方がいい」
「どういうことなの?」
「のんびりしていると結婚出来なくなるよ。特にお前は心配だ」
「それ、どういう意味よ!感じ悪い。余計なお世話です」
「いや、もうパパの友人で結婚のエキスパートにお前の事を頼んである。近々早田さんと言う人がお前に会いに行くから話だけでも聞いてくれ。世の中は変わっている事が分かるはずだ」
結衣は実家の玄関を出て行きながら背中でその言葉を聞き流した。
そして今日、結衣がアパートで寝ていると、父から聞いたのだろうが突然電話が掛ってきた。見知らぬ電話番号をスルーしていると、近所の喫茶店で待っていますという内容のメールも送られてきて、結衣はしぶしぶ父の友人とご対面したという訳だ。
初めて会う早田という男は、父の友人という割に若い。30代前半くらいか?
結衣が初対面の印象を感じていると、早田はいきなり切り出した。
「米本結衣さん。私は君を25歳までに自分の意志で結婚させる」
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