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そういや、路地裏はまだ骨とう品系統の企画扱ったことなかったな。
近くに良い場所があったって光江さんに教えてあげようかな、と町並みを眺めながら、遠くにある背中が入っていったのと同じ角を曲がって――
今の考えを速攻打ち消した。
『ラブグッズ専門店 AGB -Adlut Goods Buy-48 』
曲がっていきなりアングラ界隈かよ、とかおじいちゃんたちが道間違って入ってきたらどうすんのよ、とか考えるよりも早く。
もうちょっとセンスの良い名前つけらんなかったわけ?と驚きを通り越した呆れが全身を駆け巡る。
48の横に手のイラストまでついてるし、訴えらんないのかしらこれ。
ギリギリ法に引っかかるんじゃないのかという店名は、派手な電飾を施された看板によって昼間から無駄に輝かされている。
けれどコンビニ程度の大きさの建物自体はシンプルに一色で塗られ(まあ、ピンクですけど)、ドアもガラス張りじゃなく木製タイプのため店内の様子は全く窺えない。
お客さんにとっては、中にさえ入ってしまえば通行人の目を憚らず物色出来て良いんだろうけど・・・
今の状況でのこの外観は、怪しすぎて足を踏み出す気になれない。
あの扉が背後で閉まったら最後な気がする。いろんな意味で。
気を取り直してゆっくり視線を動かすと、お店の右隣りには『お手軽マッサージ 心身もみほぐりん』とまさに如何わしそうな看板。
左隣は『コスプレクラブ・仮初の夜更け ~ただいま異世界フェア開催中~』と称した垂れ幕と宇宙服っぽい女性の写真。
うん、どう考えても踏み込んじゃいけない雰囲気を醸し出している。
「東雲さん」
「ん?」
「ちょっと・・心の準備に時間がかかりそうです」
「身体はすぐ準備できるでしょ。今までの経験からして」
だ、か、ら、 (右手を振り上げ)
そういうことっ (地面を蹴り)
でかい声で言うの (弾よりも早く走り抜け)
やめろや!!! (確実に鳩尾へと叩き込む)
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