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第九話 エリスの想い ①
ゴールドアイランドを飛び立って、次の目的地であるライフシティーへの空の旅の中、エリスは飛空挺ウィングの甲板で、感慨深い表情で黄昏ていた。
快晴の空の中で強めの風だったが、エリスをどこか励ます感じの風だった。
そんなエリスの背後に、ロックが現れた。
ロックはエリスに声を掛けた。
「どんな気分だ?」
「なんか……複雑……」
ロックの問にエリスはニコリとしたが……無理矢理作った感じの笑顔だった。
ロックはバツの悪そうな表情で、いつものように耳をほじりながら言った。
「だろうな……」
エリスはロックの目を見た。それは悲観的な目ではなく、何かを決心したような目だった。
ロックもそんなエリスの目をじっと見つめている。
……一時間前……
ゴールドアイランドから出航したロック一行は、ライフシティーがある南西大陸を目指していた。
南西大陸はアデル中央勢力圏から離れるため、これまでの旅とは違い空賊達も活発化してくる。
そのため旅の始まりはここからとも言える。
出航したてのウィングで、ロック達は大バァの部屋に集まっていた。
ウィングはオートパイロットにしてあるため、ジンも部屋にいた。
部屋のベッドに置物のように座っている大バァは、しわくちゃの細い目でエリスを見据えている。
「傷を治す力か……」
そう呟く大バァに、マキが言った。
「大バァ様なら何かご存じと思って……」
エリスを筆頭に皆は固唾を飲んで、大バァの言葉を待っている。
すると大バァは口を開いた。
「見たことも聞いたこともない……」
大バァの言葉に一同は一斉に肩を落としたが……大バァは続けた。
「その力は……錬金術の一種かもしれん……」
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