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③
市街地に入った一行が驚いたのは、目前に広がるとある建造物だった。
「何あれ?……壁?……」
驚いた様子のエリスが言うように、町の遠方には巨大に広がる壁が見えていた。
町に入った一行が見える程だ……その大きさは安易に想像できた。
驚いた様子の一行に、ロックが言った。
「噂には聞いていたが……あれほどデケェとはな……」
ユイがロックに言った。
「なんなのさ?あれ……」
「あれが、ライフシティーが白と黒の町と言われる理由だ」
マキが言った。
「つまりどういう事ですか?」
「俺も生で見るのは初めてだが……ライフシティーは川を挟んで二つの地域でできている。つまりあのデケェ壁の梺(ふもと)には川が流れてんだよ」
エリスが言った。
「じゃあ、あの壁が町の中央線みたいな物?」
「まぁな……だが、話はそんな単純じゃねぇ……」
皆は不思議そうな表情でロックを見ていたが、ロックは続けた。
「色で例えるなら……今俺達がいる場所が白で、あの壁の向こうは黒……ダウンタウンだ」
ユイが言った。
「ダウンタウン?」
ロックは険しい表情で言った。
「この町は貧富の格差が物凄くてな……あの壁で貧しい者と、裕福な者を区切ってのさ……。それがこの町の闇の部分だ」
「そんな……何でそんな事を?」
悲しそうな表情のエリスに、ロックは言った。
「俺も詳しくは知らねぇ……戦後にこうなったからな……」
ユイがロックに言った。
「つまり統一戦争が理由でこうなったの?」
「さぁな……あの戦争が全く関係ねぇとは思わねぇが……。ハッキリした理由はわからねぇな」
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