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豪華な病院を前に、胸を踊らせて受付にやって来た一行だったが……。
「一千万円っ!?」
一行の驚きの声が、綺麗で広い病院の受付に響き渡った。
受付ロビーにいた他の患者の視線は、ロック達に集中している。
ロックは受付の地味な女性に詰め寄った。
「なんでそんなに費用がかかんだっ!?」
「ですから検査費に三百万と、一週間の入院で一日百万……見ていただかないと……」
地味な受付嬢は眉をハの字にして、困った表情だ。
ユイもロックに見習って詰め寄った。
「足下見んなよっ!……ボッタクリじゃんかぁっ!」
「ちょっとユイ……」
マキはユイを宥めたが……ロックは止まらない。
「地味受付っ!テメェじゃ話にならねぇっ!院長呼んでこいっ!」
「じっ!地味ですってぇっ!何なんですかっ!?アナタ達はっ!治安隊(けいさつ)呼びますよっ!」
ロックの言葉に地味な受付嬢も頭に来たようだ。
しかしロックは引かない。
「警察が怖くて、この世界で生きていけっかよっ!」
「いい加減にしなさいっ!」
いきり立つロックに、エリスがロックの頭をパシッと叩いた。
ロックはエリスに口を尖らせた。
「エリスッ!テメェ、なにしやがるっ!」
「場所を考えなさいっ!他の患者さん達……ビックリしてるじゃないっ!」
エリスの言う通り、ロビーにいる患者達は、ロック達の方を見てヒソヒソと何かを話している。
するとロック達の背後から声がした。
「何を騒いでいるのだ?」
地味な受付嬢は声の主に対して、背筋を伸ばした。
「いっ……院長っ!」
ロック達は院長と呼ばれる男性を一斉に見た。
院長と呼ばれる男性は、黒いストレートの髪を左分けした、細身の若い男性で、高級感のある黒いスーツを着ている。
院長はロック達の様子を見て言った。
「患者さんですか?」
ロックが院長に言った。
「アンタが院長?」
院長は頷いた。
「えっ?ええ……私が院長のジル・マグワイヤーです」
エリスが言った。
「マグワイヤーって……」
ギルはエリスに笑顔で言った。
「これは美しいお嬢さんだ。マグワイヤーホスピタルは私の一族で運営しています。理事長はドル・マグワイヤー……私の父です」
どうやら父親の病院を息子であるジルが運営しているようだ。
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